最低限必要となる遮音材のサイズの検討1. 最低限必要となる遮音材の算定手法の検
 受音点における騒音レベルの予測には日本音響学会から建設工事騒音の予測モデル等オーソライズされた手法が提案されていますが、逆に受音点の騒音レベルを目標騒音レベルに置き換え、その目標騒音レベルを達成するために最低限必要となる防音シート・防音パネルや遮音壁等(以下、遮音材という)を算定する手法は確立されていないことから算定手法の検討を行いました。

(1) 遮音材により低減が必要な騒音レベル遮音材により低減が必要な騒音レベル
 最低限必要となる遮音材を算定するには、始めに遮音材で低減が必要となる騒音レベルを算出する必要があります。
 遮音材で低減が必要となる騒音レベルは、右図のとおり音源と受音点の騒音のレベル差から、さらに距離減衰等による減衰量を引いた騒音レベルが遮音材の担うべき騒音の減衰量となります。

(2) 逆算における様々な課題
 遮音材のサイズ等の逆算においては、以下のとおり最適なサイズの検討や形状の検討が必要になります。また、遮音材の素材(音響透過損失)に応じた適切なサイズの検討も必要となります。

① サイズの検討遮音材のサイズ、形状、素材
 遮音材により低減が必要な騒音レベルを丁度達成する、小さすぎずかつ大きすぎない最適な大きさの遮音材を求める必要があります。
 
② 形状の検討
 遮音材の騒音低減効果が同じであっても様々な形状が考えられるため、最適な形状を求める必要があります。
 
③ 素材(音響透過損失)の検討
 遮音材は素材により音響透過損失が異なるため、音響透過損失に応じてサイズを変更する必要があります。


(3)
様々な課題の解決策
 様々な課題の解決にあたっては、周辺環境やコスト等を勘案して決定する必要があります。

① サイズの決定有限長遮音材の回折経路のイメージ図
 遮音材のサイズは、「騒音低減に必要となる行路差」を上下左右端について求め、求めた行路差から遮音材の縦横の幅を算出し、騒音の低減効果が丁度遮音材により低減が必要な騒音レベルとなるようにサイズを決定します。

② 形状の設定
 遮音材の形状は、高さを出来るだけ低くする必要がある場合は横長、幅を出来るだけ狭くする必要がある場合は縦長に設定します。遮音材の材料コストを低減したい場合は、最小面積の形状を選択するように設定します。

③ 素材(音響透過損失)の選択
 音響透過透過損失が小さい素材を使う場合は透過音が大きくなるため、回折音をより小さくする必要があり、そのためサイズを大きくする必要があります。逆に音響透過透過損失が大きい素材を使う場合は、サイズを小さくする必要があります。

遮音材による騒音低減効果のイメージ図

(4) 最低限必要となる遮音材の高さ及び延長
 最低限必要となる遮音材の高さ及び延長は、遮音材の設置延長が制限されている場合は高さのみ、遮音材の設置高さが制限されている場合は延長のみをそれぞれ検討します。
 一方、最小面積の遮音材を求める場合は、全ての形状の中で最小面積となる場合、横長の形状で最小面積となる場合、縦長の形状で最小面積となる場合などそれぞれの地域の環境に応じた検討を行います。最小面積の遮音材の高さ及び延長の検討例は下図のとおりです

最低限必要となる遮音材の高さ及び延長の例

最低限必要な遮音材の延長及び高さの例(最小面積を算出した場合)

2. 応用事例(音源が移動する場合)移動する音源と受音点の位置関係
 施工機械など音源が移動する場合についても検討が可能です。
 音源と受音点が離れている場合は低い遮音材で対策可能ですが、音源と受音点が近い場合は高い遮音材が必要になります。
 防音シートを用いた場合及び防音パネルを用いた場合に最低限必要となる高さ及び延長の検討例はそれぞれ下図のとおりとなります。

最低限必要となる防音シートの高さ及び延長の例最低限必要となる防音シートの高さ及び延長

最低限必要な防音パネルの高さ及び延長の例

最低限必要となる防音パネルの高さ及び延長

3. 様々なメリット

様々なメリット やみくもに防音対策を行うのでは無く、最低限必要となる防音対策を事前に把握できるため適切な防音対策が可能になり、対策コストの低減に繋がります。
  
 風害や通風阻害あるいは日照阻害や景観など、他の環境要素への配慮が求められる場合には、最低限必要な遮音材の高さが把握できるため、遮音材の設置等による他の環境要素への悪影響を最小限にすることが可能となります。

 行政や周辺住民から防音対策の根拠を求められる場合についても納得性の高い説明資料が作成できます。
 
 工事や業務の受注における技術提案(プロポーザル)で高得点を狙う場合や工事や業務の技術点や評価点を上げたい場合は特に有効な手法であると考えています。